2016年1月4日23:00,AMDのGPU部門であるRadeon Technologies Group(以下,RTG)は,次世代GPUアーキテクチャ「Polaris」(ポラリス)の存在を明らかにし,合わせて,同アーキテクチャベースの第1弾製品を2016年半ばに市場投入すると予告した。
北極星の名を冠した次世代アーキテクチャで,AMDのGPUは何が変わるのか。製品概要の一部が語られたスライドを入手したので,それを使って,AMDの次世代GPUの姿を占ってみよう。
Polarisが新しいアーキテクチャなのであれば,現行の「Graphics Core Next」(以下,GCN)とは直接の関連がない,まったく新しいGPU世代が開幕すると思うかもしれない。その意味において,Polarisに関して最初に押さえておくべきは,「そうではない」ということになるだろう。
今回RTGは,Polarisを「マクロアーキテクチャ」(Macro-Architecture)と位置づけている。半導体業界におけるマクロアーキテクチャというと,一般に,各要素をどう配置するかなどといったチップ全体の設計や,製造プロセス技術を含めた,ざっくりしたアーキテクチャ(architecture,基本設計)のことを指す。
このあたりは下のスライドでRTGもわざわざ説明しているのだが,今日(こんにち)のGPUは,シェーダプロセッサをはじめとする,さまざまな機能を持つモジュールの集合体だ。Polarisアーキテクチャは,そんな「モジュールの集合体としてのGPU」を指す,新しいアーキテクチャ名ということになる。
筆者が記憶する限り,AMDがGPUのマクロアーキテクチャにブランド名を与えたのはこれが初めて。GPU業界では過去に類例がないブランド戦略という感じになるのではないかと思う。
RTGは,Electronic Artsの新作ゲームタイトル「Star Wars Battlefront」を用いて,Polarisアーキテクチャベースの新しいエントリーミドルクラスGPUと「GeForce GTX 950」消費電力を比較した結果も示しているので,掲載しておこう。
PCは「Core i7-4790K」ベースのもので,GPU以外のスペックは共通。この状態で1920×1080ドット/60fpsの描画を行ったところ,システム全体の消費電力はGTX 950搭載時に140Wだったのが,次世代GPU搭載時は89W,約61%にまで下がったとのことだ。
![http://www.4gamer.net/games/329/G032949/20160104001/TN/009.jpg]()
北極星の名を冠した次世代アーキテクチャで,AMDのGPUは何が変わるのか。製品概要の一部が語られたスライドを入手したので,それを使って,AMDの次世代GPUの姿を占ってみよう。
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Polarisアーキテクチャとは何か
Polarisが新しいアーキテクチャなのであれば,現行の「Graphics Core Next」(以下,GCN)とは直接の関連がない,まったく新しいGPU世代が開幕すると思うかもしれない。その意味において,Polarisに関して最初に押さえておくべきは,「そうではない」ということになるだろう。
今回RTGは,Polarisを「マクロアーキテクチャ」(Macro-Architecture)と位置づけている。半導体業界におけるマクロアーキテクチャというと,一般に,各要素をどう配置するかなどといったチップ全体の設計や,製造プロセス技術を含めた,ざっくりしたアーキテクチャ(architecture,基本設計)のことを指す。
このあたりは下のスライドでRTGもわざわざ説明しているのだが,今日(こんにち)のGPUは,シェーダプロセッサをはじめとする,さまざまな機能を持つモジュールの集合体だ。Polarisアーキテクチャは,そんな「モジュールの集合体としてのGPU」を指す,新しいアーキテクチャ名ということになる。
筆者が記憶する限り,AMDがGPUのマクロアーキテクチャにブランド名を与えたのはこれが初めて。GPU業界では過去に類例がないブランド戦略という感じになるのではないかと思う。
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繰り返すが,Polarisアーキテクチャを採用したGPUは2016年半ば以降,順次,市場投入となる予定だ。競合との消費電力比較が公表された以上,すでに試作サンプルがあり,動作しているていることは間違いないないので,そう遠くない将来,ゲーマーが手にできるのは間違いない。
既報のとおり,AMDは2016年,x86互換CPU市場に,開発コードネーム「Zen」という新たなマイクロアーキテクチャを投入する計画がある。CPUではマイクロアーキテクチャ刷新,GPUではマクロアーキテクチャ刷新と,今年のAMDは何かとニュースが多くなりそうだ。
AMD,久々の大躍進が見られるのか,大いに期待しつつ,最終製品の登場を楽しみに待とう。
Polarisアーキテクチャの持つ優れた電力性能は,これまでにないPCのフォームファクタを実現できるとAMDはアピールしている。たとえば,より薄型のゲーマー向けノートPCや,これまで見たことのない小ささのゲーマー向けデスクトップPC向けなどである。
とくに,成長分野とされているゲーマー向けノートPC市場だと,現状では電力性能の高い第2世代Maxwellアーキテクチャが席巻しているという実態があるので,Polarisアーキテクチャの投入により,この分野での巻き返しを図りたいというのがRTGの本音ではないかと思われる。
とくに,成長分野とされているゲーマー向けノートPC市場だと,現状では電力性能の高い第2世代Maxwellアーキテクチャが席巻しているという実態があるので,Polarisアーキテクチャの投入により,この分野での巻き返しを図りたいというのがRTGの本音ではないかと思われる。
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※AMDからスピンオフした歴史を持つファウンドリ企業・GLOBALFOUNDRIESは,FinFETを用いた14nm LPPプロセスを使ってAMD製品のサンプル製造に成功したりしているのだが(関連記事),今回は16nm FinFETと明示されているので,GLOBALFOUNDRIES側の動きと直接の関係はないと思われる。
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RTGは,Electronic Artsの新作ゲームタイトル「Star Wars Battlefront」を用いて,Polarisアーキテクチャベースの新しいエントリーミドルクラスGPUと「GeForce GTX 950」消費電力を比較した結果も示しているので,掲載しておこう。
PCは「Core i7-4790K」ベースのもので,GPU以外のスペックは共通。この状態で1920×1080ドット/60fpsの描画を行ったところ,システム全体の消費電力はGTX 950搭載時に140Wだったのが,次世代GPU搭載時は89W,約61%にまで下がったとのことだ。
