E3 2014でSony Computer Entertainmentが力を入れて出展しているPlayStation 4用タイトル「The Order:1886」。クローズドの専用ブースに試遊台が設置されており,非常に短いながらも,反乱軍との戦いを体験できたというのは,プレイレポートでお伝えしたとおりだ。
これ以外のゲームシーンは,次の機会に……と思っていたら,E3 2014の2日めに,
出展されていない部分のデモプレイを,開発元のReady At Dawnに見せてもらえることになった。撮影は一切禁止だったが,その内容をお伝えしていこう。
今回見せてもらえたのは,「Sony E3 Press Conference」で公開されたムービーに収録されている,ライカンと遭遇するシーンだ(関連記事)。舞台となるのはホワイトチャペル地区にある病院で,主人公ガラハッド達が属する騎士団「オーダー」は,ここで何が起きているのかを探っているのだという。
デモプレイを見せてくれたReady At DawnのNathan Phail-Liff氏。The Order:1886のアートディレクターを担当している![]() |
E3 2014の試遊台では,人間を相手にしたアクションを確認できるようになっているが,今回のデモでは本作の探索要素やホラー要素を見せるということで,ゲームスタート。ガラハッドは,騎士団のイザベルと合流すべく,単独で病院の奥深くを目指すことになる。
薄暗い病院はかなり不気味で,時代背景が現代でないこともあり若干グロテスクな雰囲気だ。病院内にある,資料と思われる人の腕や顔,人体模型といった小~中規模のオブジェクトだけでなく,手術室などの部屋自体も,かなり細かく作られており,嫌な雰囲気が強調されている。
Phail-Liff氏は,こういった部分でリアリティを出すために,非常に多くの資料を参考に細かな部分まで再現したと述べていた。
しばらく進むと,危険な患者を扱っているという区画に到着。牢屋のような部屋が左右に置かれた通路には,多くの血痕が残っており,明らかに“何か”が起きているのだと分かるレベルだ。Phail-Liff氏は,部屋を1つ1つあけて中の様子を確認しつつ先に進んでいたが,雰囲気は完全にホラーゲームである。
通路を抜けると,人間の死体を食べる奇怪な人影に遭遇する。そう,これがオーダーの敵となる
ライカンだ。ガラハッドを見つけたライカンは,獣とも人とも言えない異形の姿に変化し,ガラハッドに襲い掛かる。ガラハッドはピストルを抜いて応戦するも,まったく効かず,投げ飛ばされて負傷してしまう。
ここからは,緊張のシーンの連続だ。ガラハッドはブラックウォーターで傷を癒し,なんとか逃げようとするが,このとき急いで身を隠さないと,ライカンに襲われて即死。身を隠しても,血の匂いで場所を探り当てられるので,コンボガン(ライフル弾と圧縮した空気による衝撃波が使い分けられる銃)で応戦することになるのだが,ここでうまくライカンを怯ませないとやはり即死。その後,ライカンに組み付かれたときに,とっさにボタンを押して対処できなければ,ここでも即死と,とにかくあっさり倒されてしまうのである。
特徴的なのは,本作はゲームプレイ部分と「In-game Cinematics」と呼ばれる演出部分がシームレスに移行するため,「いわばムービー的なところ」という感覚を受けにくいということだ。ライカン登場からの一連の流れの間に,アクションと短いムービーが交互に入っており,いわゆるQTEのようなコマンド入力が求められることもあるのだが,ゲームプレイを中断されているような感じはしなかった。Ready At Dawnは,本作の開発で「すべてのカットシーンをプリレンダではなくリアルタイムで処理」し,プレイを阻害しないことに注力しているというが,それが活きている印象である。
さて,死闘の末,一度は追い払うことに成功するが,なかなかライカンは追跡を諦めない。暗い病院の中で,いつライカンに襲われるか分からないまま進んでいくシーンは,デモを見ているだけでもハラハラできた。最終的に,ガラハッドはイザベルを見つけるが,いざ合流しようというタイミングでライカンが現れ,絶体絶命……! というところで,今回のデモは終了となっている。
先に試遊をしていた筆者としては,本作が「世界観に合わせた変わった武器で敵を倒していくTPS」だと思っていたのだが,それはどうやらまったくの間違いだったようだ。今回のホラー要素を多分に含むデモを見て,印象はガラリと変わった。ただ敵を倒すだけのゲームではなく,プレイヤーの心拍数を上げるようなシーンもいろいろと盛り込まれていそうで,続報が非常に楽しみである。