F1サーカスのシーズンがゲームにも到来! モータースポーツ最高峰といわれるF1世界選手権(フォーミュラワン ワールドチャンピオンシップ)をテーマにしたCodemastersのF1シリーズ最新作「F1 2017」(PlayStation 4/Xbox One)が,ユービーアイソフトから発売中だ。
国際自動車連盟(FIA)の公式ライセンスゲームとなる本作は,2017年のF1世界選手権を戦う実在のコンストラクターズ,ドライバー,サーキットなどがすべて実名で登場する。現在,日本人ドライバーが参戦していないのはちょっと寂しいが,本作をプレイすることで,1人の日本人ドライバーとして19名のライバルを相手に挑めるのだ。
というわけで,発売から少し時間が経ってしまったが,今回,PlayStation 4版のプレイレポートをお届けしたい。
F1マシンの挙動特性の再現については,完成度の高かった前作「F1 2016」に比べて大きな変更はないが,2017年のF1世界選手権のレギュレーション変更に合わせて,前後のタイヤ幅がワイドになり,それに伴ってフロントウィング幅,フロアおよびサイドポット幅が拡大され,リアウィングが下げられている。昨年のF1マシンと比べると,車高がペタッと低いローワイドな見た目になっている。
これらの変更は挙動特性に反映されており,ワイドタイヤによるグリップ力の増大,車体を路面に押しつけるダウンフォースの増大などによりコーナーでの性能と速度が高まり,安定したコーナーリングとタイムアップが実現している。
F1マシンの魅力は,ほかのカテゴリのレースカーでは慎重に曲がるべきコーナーでも,路面にピタッと張り付いたようにハイスピードでスイスイと抜けていけるところにあり,とくに今年のF1マシンはリアが唐突に流れてスピンするようなシーンは減っており,これぞF1マシン! という走りが存分に楽しめる。
設定画面で挙動特性を変えることもできるが,バランスの取れた「デフォルト」のほか「ダウンフォース最大」「トップスピード増大」など5つのプリセットも用意されているので,ビギナーでも迷わないだろう。自分好みのマシンに仕上げたければ,燃料搭載量,エアロダイナミクス,トランスミッション,サスペンション,ブレーキなどを細かく調整できるので,とことん煮詰めることも可能だ。
前作同様,2017年のシーズンに参戦中のものだけでなく,マクラーレン MP4/6(1991年),ウィリアムズ FW14B(1992年),フェラーリ F2004(2004年),レッドブル・レーシング RB6(2010年)など,少し前の車種も収録されており,最先端のF1マシンとは違ったフィーリングが楽しめるのも面白い。マクラーレン MP4/6のV12エンジンが奏でる甲高いエキゾーストノートもリアルに再現されており,往年のF1ファンならば乗り回したくなるはずだ。
操作系については,2017年のF1マシンはコーナーリング性能が上がっているせいか,純正ゲームパッドDUALSHOCK4の操作感は良好だ。ブレーキアシストやアンチロックブレーキといったドライビングアシスト機能のほか,スティックの感度調整も行えるので,ゲームパッドでも問題なく楽しめる。
とはいえ,ゲームパッドでは一定の切り角を維持するロングコーナーなどではどうしてもカクカクした動きになりがちであるため,慎重な操作が必要だ。コーナーでライバルと接触してクラッシュすることもある。
F1マシンの挙動を存分に楽しんだり,とことんタイムを求めるなら,ステアリングコントローラをオススメしたい。筆者はロジクールの「G29 ドライビングフォース」でプレイしたが,路面から伝わる振動やコーナーでのタイヤのグリップ感,コーナーを丁寧にトレースしていくような走りが可能であり,没入感は非常に高い。
メインとなる「キャリア」は2017年F1世界選手権を疑似体験できるモードで,好みのチームと契約し,F1世界選手権のカレンダーどおりに全20戦を戦っていくというものだ。ファーストドライバーとして参戦できるが,成績次第ではセカンドドライバーに格下げされることもあるので,気を抜けない。
実際のレースと同じ,フリー走行3回,予選,決勝というウィークエンドのセットを,例えば予選は1ラップのみのワンショット,決勝はフォーメーションラップをオフ,レース距離を実際の10%にするといった設定を自由に決められる。ドライビングアシスト機能をすべてオフにするといったマニア向けの設定も用意されているので,自分はプロドライバーの腕前だぜという人は,ぜひ。
キャリアでは,世界各国で行われるグランプリをカレンダーどおりにこなしていくことになるが,当然,本作でも2017年のレギュレーションに沿うものになっており,シーズンを通して使用できるパワーユニット(エンジン)は4基に制限されている。
エンジンには予想寿命と全体的な消耗があり,速く走るにはエンジンを高回転で回さなければならないが,タイムが稼げる一方,速ければ速いほどエンジンが消耗するため,そのへんも考えたレース運びが必要になる。場合によっては,エンジンに優しいドライビングを強いられることもあり,エンジン交換のタイミングを考えつつ,全20戦を4基のエンジンで戦っていかなくてはならないのだ。
またギアボックスにも,6つのグランプリで連続使用するというレギュレーションがあるため,こちらも消耗度を気にしなくてはならない。エンジンとギアボックスは,戦略の鍵を握る大きな要素だ。
こうしたエンジンやギアボックスの耐久性は,R&D(研究開発)を行うことで上げられる。R&Dには,耐久性,シャーシ,エアロダイナミクス,パワートレインという4つの部門があり,例えば,パワートレインならエンジン出力,燃料消費,部門効率,部門品質管理というカテゴリごとに複数の開発項目が用意されており,最初のイグニションシステムの開発が完了すると,より効率的な方法で点火プラグのタイミングを制御するかを研究できるというツリー構造になっている。
どんな開発項目があるかはR&Dの画面で確認できるので,自分のプレイスタイルに合わせて,どこから開発していくかを検討するといいだろう。
このR&Dを行うには項目ごとに所定のリソースポイントが必要で,リソースポイントはレースで勝利することで獲得できる。また,後述するフリー走行中に行えるプラクティス・プログラムやチームの目標を達成することでも手に入る。
ただし,同時に研究開発できる項目の上限は決められており,リソースポイントがたくさんあるからといって,いくつもまとめて行うことはできない。また,項目ごとに開発完了までには一定の時間が必要で,効果が得られるのは早くても次のグランプリからになる。
レースでは,ウィークエンドを通したタイヤの選択が可能だ。固めのタイヤを使って,多少タイムが伸びなくてもタイヤを温存する走りをするか,柔らかめのタイヤで可能な限り飛ばしてピットインのタイミングを稼ぐかといった戦略が立てられるほか,天候の変化に応じてタイヤを変えるなど,臨機応変の対応も求められて楽しい。
熱いレースを楽しむには,ライバル達の速さも重要だ。ライバルの動きは「AI Driver Level」で調整でき,スライドバーを動かすことでビギナーからアルティメットまで調整できる。あまりに独走状態になってしまうと,緊張感のないレースになってしまうので,フリー走行などの様子を見ながらライバル達の速さを調整しよう。
R&Dに必要なリソースポイントを効率よく稼ぐには,フリー走行セクションの「プラクティス・プログラム」に挑戦しよう。シリーズファンおなじみのプラクティス・プログラムは前作よりも増えており,コース上のマーカーどおりに走ってコースの走り方を覚えられる「コース順応」,タイヤの消耗を抑える走りが学べる「タイヤ・マネージメント」,ラップタイムを維持しながら燃料の使用を減らす「燃費」,ベストタイムを計測する「予選ペース」,最大5周走行し,その結果で理想的な燃料搭載量とピットストップ戦略が決められる「レース戦略」が用意されている。
それ以外にも,例えば「平均最高速度を更新する」「セクター3で最速タイムを出す」といった,「チーム目標」が用意されているが,これらはプラクティス・プログラムに挑戦していれば自然に達成できるものばかりなので,すべてクリアすることを目指したい。
3回のフリー走行中にプラクティス・プログラムに挑戦し,パーフェクトな走りをすれば50ポイント,それほどでもないと30ポイントが手に入るが,場合によっては0ポイントということもある。できるならすべてパーフェクトでクリアしたいが,慣れるまでは非常に難しい。繰り返し挑戦して,パーフェクトが取れるまで走り込もう。
ほかのレースゲームにも“フリー走行”という要素はあったが,淡々と走り込むだけだったりする場合が多く,つい飛ばして予選に行くことも多かった。つまり,ゲームおける重要性は低く,正直,あまり面白みはなかったのだが,目標が設定される本作のプラクティス・プログラムなら,楽しみながらコースレイアウトや,タイヤ・燃料をあまり消費しない走り,そして決勝レースで必要になるドライビングテクニックなどを身につけられる。これは,かなり素晴らしい。フリー走行をしっかり走り込むことで,ベストな状態で予選や決勝レースに入ることができるわけだ。
そんなプラクティス・プログラムの1つである,上記の「燃費」について紹介したい。燃費は,リフト・アンド・コーストを使って,燃料を節約しつつタイムを維持できる走り方を学ぶもので,これにより燃料搭載量を減らしてスタートでき,かつ重量が減ったことで走りのパフォーマンスも向上する。
ちなみに,リフト・アンド・コーストとは,ストレートエンドでアクセルをオフにした状態で走らせてコーナーに入るというテクニックで,コーナー進入時に早めにアクセルを離し,惰性でブレーキングポイントに入り,あとは普通にコーナーを立ち上げていくといった感じだ。惰性状態でも思ったよりスピードは落ちないが,ブレーキングポイントは遠くなる。
燃費では,所定のタイムが設定されているので,それに合わせる必要があり,難度は意外に高い。ただ,リフト・アンド・コーストで燃料消費を抑えながらフィニッシュへ持って行った決勝レースもあったので,しっかり身につけておこう。
このプラクティス・プログラム,きちんとクリアするのとしないのでは,予選や決勝レースで大きな差になって現れる。むしろ,プラクティス・プログラムをしっかりやっておくと,予選と決勝レースがかなり楽に感じられるので,全20戦,レースウィークエンドを思う存分に楽しみながらキャリアをこなしていってほしい。
キャリア以外にも,多くのゲームモードが用意されている。好きなマシンやサーキットを選び,設定などを調整しながらコンマ1秒を削る楽しみが味わえる「タイムトライアル」や,過去の車を含むF1マシンを使い,カレンダーを自由に組んでチャンピオンシップのレースが楽しめる「グランプリ」などが用意されており,やり応えは十分だ。
オンライン要素としては,世界中のプレイヤーと対戦ができる「マルチプレイヤー」があり,いきなり決勝レースになる「クイックレース」や,フリー走行,予選,決勝と複数のレースで競う「チャンピオンシップ」,そして「イベント」などがある。
イベントは,定期的に更新されるさまざまなシチュエーションのシナリオに挑戦して,世界中のプレイヤーとスコアを競うもので,本稿の執筆中にプレイできたのは,マレーシア・グランプリでルノーのニコ・ヒュルケンベルグとなり,トップ10に入るというシナリオだ。
順位は15位,残り10周,レインコンディションという状況で,途中で雨が上がり,どこかのタイミングでタイヤをインターミディエイトからドライタイヤに変えなければならなかったのだが,そのためにはライバル達とのタイム差が気になる。こうした,実際のレースで遭遇したらドキドキしそうな展開が用意されており,シナリオは定期的に更新されるため,次々に新しいレースに挑戦できる。
じっくりとF1の世界を堪能したいならキャリアを,ライバルにじゃまされずにタイムを刻みたければタイムアタック,対戦ならばマルチプレイヤーと,ゲームモードは充実しており,幅広い層で楽しめる作品に仕上がっている。
前作の完成度は非常に高かったが,本作では,挙動特性,サウンド,グラフィックス,そしてゲーム性のすべてにおいてブラッシュアップしてきた印象で,本作をプレイすればF1の醍醐味を存分に味わえる。最高のF1ゲームの1本として,レースゲームファンだけでなく,これまでF1ゲームを遊んだことのない人も,F1ならではのスピード,挙動,エキゾーストノート,そして,テール・トゥ・ノーズのハイスピードバトルをぜひ体験してほしい。
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「F1 2017」公式サイト
国際自動車連盟(FIA)の公式ライセンスゲームとなる本作は,2017年のF1世界選手権を戦う実在のコンストラクターズ,ドライバー,サーキットなどがすべて実名で登場する。現在,日本人ドライバーが参戦していないのはちょっと寂しいが,本作をプレイすることで,1人の日本人ドライバーとして19名のライバルを相手に挑めるのだ。
というわけで,発売から少し時間が経ってしまったが,今回,PlayStation 4版のプレイレポートをお届けしたい。
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F1マシンならではのパワー,スピード,挙動を体感しよう
F1マシンの挙動特性の再現については,完成度の高かった前作「F1 2016」に比べて大きな変更はないが,2017年のF1世界選手権のレギュレーション変更に合わせて,前後のタイヤ幅がワイドになり,それに伴ってフロントウィング幅,フロアおよびサイドポット幅が拡大され,リアウィングが下げられている。昨年のF1マシンと比べると,車高がペタッと低いローワイドな見た目になっている。
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F1マシンの魅力は,ほかのカテゴリのレースカーでは慎重に曲がるべきコーナーでも,路面にピタッと張り付いたようにハイスピードでスイスイと抜けていけるところにあり,とくに今年のF1マシンはリアが唐突に流れてスピンするようなシーンは減っており,これぞF1マシン! という走りが存分に楽しめる。
設定画面で挙動特性を変えることもできるが,バランスの取れた「デフォルト」のほか「ダウンフォース最大」「トップスピード増大」など5つのプリセットも用意されているので,ビギナーでも迷わないだろう。自分好みのマシンに仕上げたければ,燃料搭載量,エアロダイナミクス,トランスミッション,サスペンション,ブレーキなどを細かく調整できるので,とことん煮詰めることも可能だ。
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前作同様,2017年のシーズンに参戦中のものだけでなく,マクラーレン MP4/6(1991年),ウィリアムズ FW14B(1992年),フェラーリ F2004(2004年),レッドブル・レーシング RB6(2010年)など,少し前の車種も収録されており,最先端のF1マシンとは違ったフィーリングが楽しめるのも面白い。マクラーレン MP4/6のV12エンジンが奏でる甲高いエキゾーストノートもリアルに再現されており,往年のF1ファンならば乗り回したくなるはずだ。
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とはいえ,ゲームパッドでは一定の切り角を維持するロングコーナーなどではどうしてもカクカクした動きになりがちであるため,慎重な操作が必要だ。コーナーでライバルと接触してクラッシュすることもある。
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F1マシンの挙動を存分に楽しんだり,とことんタイムを求めるなら,ステアリングコントローラをオススメしたい。筆者はロジクールの「G29 ドライビングフォース」でプレイしたが,路面から伝わる振動やコーナーでのタイヤのグリップ感,コーナーを丁寧にトレースしていくような走りが可能であり,没入感は非常に高い。
頂点を目指して全20戦を戦い抜くのだ
メインとなる「キャリア」は2017年F1世界選手権を疑似体験できるモードで,好みのチームと契約し,F1世界選手権のカレンダーどおりに全20戦を戦っていくというものだ。ファーストドライバーとして参戦できるが,成績次第ではセカンドドライバーに格下げされることもあるので,気を抜けない。
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キャリアでは,世界各国で行われるグランプリをカレンダーどおりにこなしていくことになるが,当然,本作でも2017年のレギュレーションに沿うものになっており,シーズンを通して使用できるパワーユニット(エンジン)は4基に制限されている。
エンジンには予想寿命と全体的な消耗があり,速く走るにはエンジンを高回転で回さなければならないが,タイムが稼げる一方,速ければ速いほどエンジンが消耗するため,そのへんも考えたレース運びが必要になる。場合によっては,エンジンに優しいドライビングを強いられることもあり,エンジン交換のタイミングを考えつつ,全20戦を4基のエンジンで戦っていかなくてはならないのだ。
またギアボックスにも,6つのグランプリで連続使用するというレギュレーションがあるため,こちらも消耗度を気にしなくてはならない。エンジンとギアボックスは,戦略の鍵を握る大きな要素だ。
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こうしたエンジンやギアボックスの耐久性は,R&D(研究開発)を行うことで上げられる。R&Dには,耐久性,シャーシ,エアロダイナミクス,パワートレインという4つの部門があり,例えば,パワートレインならエンジン出力,燃料消費,部門効率,部門品質管理というカテゴリごとに複数の開発項目が用意されており,最初のイグニションシステムの開発が完了すると,より効率的な方法で点火プラグのタイミングを制御するかを研究できるというツリー構造になっている。
どんな開発項目があるかはR&Dの画面で確認できるので,自分のプレイスタイルに合わせて,どこから開発していくかを検討するといいだろう。
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このR&Dを行うには項目ごとに所定のリソースポイントが必要で,リソースポイントはレースで勝利することで獲得できる。また,後述するフリー走行中に行えるプラクティス・プログラムやチームの目標を達成することでも手に入る。
ただし,同時に研究開発できる項目の上限は決められており,リソースポイントがたくさんあるからといって,いくつもまとめて行うことはできない。また,項目ごとに開発完了までには一定の時間が必要で,効果が得られるのは早くても次のグランプリからになる。
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レースでは,ウィークエンドを通したタイヤの選択が可能だ。固めのタイヤを使って,多少タイムが伸びなくてもタイヤを温存する走りをするか,柔らかめのタイヤで可能な限り飛ばしてピットインのタイミングを稼ぐかといった戦略が立てられるほか,天候の変化に応じてタイヤを変えるなど,臨機応変の対応も求められて楽しい。
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熱いレースを楽しむには,ライバル達の速さも重要だ。ライバルの動きは「AI Driver Level」で調整でき,スライドバーを動かすことでビギナーからアルティメットまで調整できる。あまりに独走状態になってしまうと,緊張感のないレースになってしまうので,フリー走行などの様子を見ながらライバル達の速さを調整しよう。
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プラクティス・プログラムをこなしていくだけで,トップドライバーの仲間入り
R&Dに必要なリソースポイントを効率よく稼ぐには,フリー走行セクションの「プラクティス・プログラム」に挑戦しよう。シリーズファンおなじみのプラクティス・プログラムは前作よりも増えており,コース上のマーカーどおりに走ってコースの走り方を覚えられる「コース順応」,タイヤの消耗を抑える走りが学べる「タイヤ・マネージメント」,ラップタイムを維持しながら燃料の使用を減らす「燃費」,ベストタイムを計測する「予選ペース」,最大5周走行し,その結果で理想的な燃料搭載量とピットストップ戦略が決められる「レース戦略」が用意されている。
それ以外にも,例えば「平均最高速度を更新する」「セクター3で最速タイムを出す」といった,「チーム目標」が用意されているが,これらはプラクティス・プログラムに挑戦していれば自然に達成できるものばかりなので,すべてクリアすることを目指したい。
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3回のフリー走行中にプラクティス・プログラムに挑戦し,パーフェクトな走りをすれば50ポイント,それほどでもないと30ポイントが手に入るが,場合によっては0ポイントということもある。できるならすべてパーフェクトでクリアしたいが,慣れるまでは非常に難しい。繰り返し挑戦して,パーフェクトが取れるまで走り込もう。
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そんなプラクティス・プログラムの1つである,上記の「燃費」について紹介したい。燃費は,リフト・アンド・コーストを使って,燃料を節約しつつタイムを維持できる走り方を学ぶもので,これにより燃料搭載量を減らしてスタートでき,かつ重量が減ったことで走りのパフォーマンスも向上する。
ちなみに,リフト・アンド・コーストとは,ストレートエンドでアクセルをオフにした状態で走らせてコーナーに入るというテクニックで,コーナー進入時に早めにアクセルを離し,惰性でブレーキングポイントに入り,あとは普通にコーナーを立ち上げていくといった感じだ。惰性状態でも思ったよりスピードは落ちないが,ブレーキングポイントは遠くなる。
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燃費では,所定のタイムが設定されているので,それに合わせる必要があり,難度は意外に高い。ただ,リフト・アンド・コーストで燃料消費を抑えながらフィニッシュへ持って行った決勝レースもあったので,しっかり身につけておこう。
このプラクティス・プログラム,きちんとクリアするのとしないのでは,予選や決勝レースで大きな差になって現れる。むしろ,プラクティス・プログラムをしっかりやっておくと,予選と決勝レースがかなり楽に感じられるので,全20戦,レースウィークエンドを思う存分に楽しみながらキャリアをこなしていってほしい。
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マニア向けではない, 幅広い層で楽しめる最高のF1ゲーム
キャリア以外にも,多くのゲームモードが用意されている。好きなマシンやサーキットを選び,設定などを調整しながらコンマ1秒を削る楽しみが味わえる「タイムトライアル」や,過去の車を含むF1マシンを使い,カレンダーを自由に組んでチャンピオンシップのレースが楽しめる「グランプリ」などが用意されており,やり応えは十分だ。
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http://www.4gamer.net/games/392/G039225/20171004096/TN/031.jpg タイムアタックでは,世界中のプレイヤーのタイムがランキングされており,近いタイムのゴーストも表示されられる |
http://www.4gamer.net/games/392/G039225/20171004096/TN/032.jpg 制限時間内に何台オーバーテイクできるかといったミニゲーム的なイベントレースにも挑戦できる |
イベントは,定期的に更新されるさまざまなシチュエーションのシナリオに挑戦して,世界中のプレイヤーとスコアを競うもので,本稿の執筆中にプレイできたのは,マレーシア・グランプリでルノーのニコ・ヒュルケンベルグとなり,トップ10に入るというシナリオだ。
順位は15位,残り10周,レインコンディションという状況で,途中で雨が上がり,どこかのタイミングでタイヤをインターミディエイトからドライタイヤに変えなければならなかったのだが,そのためにはライバル達とのタイム差が気になる。こうした,実際のレースで遭遇したらドキドキしそうな展開が用意されており,シナリオは定期的に更新されるため,次々に新しいレースに挑戦できる。
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じっくりとF1の世界を堪能したいならキャリアを,ライバルにじゃまされずにタイムを刻みたければタイムアタック,対戦ならばマルチプレイヤーと,ゲームモードは充実しており,幅広い層で楽しめる作品に仕上がっている。
前作の完成度は非常に高かったが,本作では,挙動特性,サウンド,グラフィックス,そしてゲーム性のすべてにおいてブラッシュアップしてきた印象で,本作をプレイすればF1の醍醐味を存分に味わえる。最高のF1ゲームの1本として,レースゲームファンだけでなく,これまでF1ゲームを遊んだことのない人も,F1ならではのスピード,挙動,エキゾーストノート,そして,テール・トゥ・ノーズのハイスピードバトルをぜひ体験してほしい。
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